電気理論|on Note

三相誘導電動機の特性

三相電源の位相のずれにより磁界が回転する作用を利用してモータを稼働させる三相誘導電動機がある。

固定子にあるR相,S相,T相より発生する回転磁界が回転子の回転を誘い、回転磁界に導かれた回転子が回転する。つまり、 固定子の作る回転磁界により電気伝導体の回転子に誘導電流が発生し、滑りに対応した回転トルクが発生することになる。

同期速度

固定子巻線に生ずる回転磁界の回る速度を同期速度という。

電源周波数をf[Hz]、極数をpとすると、同期速度Nsは、
同期速度Ns[min-1]=120f/p・・・(1)

[min-1]は毎分の回転速度。[rpm]も同じ意味。1/分=回転数/分である。

極数とは、固定子巻線に生ずる回転磁界の数であり、N極・S極を1対と考え2極と数える。ゆえに、pで表される極数は常に偶数である。

式(1)の「120」は「1分=60秒」の「60」に「2」を乗じたものだと考え、
ns[s-1]=2f/p

同期速度は、極数が多いほど遅くなり、周波数が上がると速くなる。また、同期速度は周波数に依存するものであり、電圧が変わっても同期速度は変わらないと考える。

回転速度と滑り

回転子が実際に回る速度を回転速度という。

回転子の回転は、そこに摩擦やその他の損失がある為同期速度より遅れ、この遅れを滑りという。

同期速度をNs、滑りをsとすると、回転速度Nは、
回転速度N[min-1]=Ns(1−s)・・・(2)

式内の「1」は100%を意味し、滑りsは0〜100%で表される。

滑りsを求めるには、式(2)を変形して、
滑りs[%]={(Ns−N)/Ns}×100[%]

「s=1」は電動機が停止、「s=0」は電動機が同期速度で動いていることになる。

効率

三相誘導電動機の効率とは、有効出力(定格出力)と有効入力の比をいう。

三相誘導電動機の入力、出力、損失、効率の間にある関係は、
効率[%]=(出力/入力)×100[%]={(入力−損失)/入力}×100[%]={出力/(出力+損失)}×100[%]

効率には実測効率と規約効率がある。

実測効率
電動機に実際に負荷をかけ、入力と出力を直接測定して算出した効率。
規約効率
約定された方法に従って電動機の損失を測定・算出し、これに基づいて、ある出力(入力)に対する入力(出力)を求め、これから算出する効率。

全負荷電流と始動電流

定格出力P[W]、端子電圧[V]、力率cosθ、効率η(小数)も三相誘導電動機の全負荷電流は、
全負荷電流I[A]=P/(η・√3・V・cosθ)

「η(イータ)」は、出力/入力である効率を表す。

三相誘導電動機の始動時に流れる電流を始動電流と呼ぶ。

電動機の始動時には大きな電流が流れ、全負荷電流の5〜8倍の電流が流れる。

三相誘導電動機の力率改善

誘導電動機の力率は80%程度とあまり良くなく、電動機と並列に進相用コンデンサを接続して力率を改善している。

コンデンサは開閉器の電動機側に設置し、電動機停止時は電源回路から切り離されるようにしておく。

三相誘導電動機の始動

誘導電動機は構造によって、かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機に分かれる。主に、中容量以下のものにはかご形が、大容量には巻線形が用いられる。

かご形誘導電動機の始動法は、出力に応じて次の方法がある。

直入れ始動法
5kW以下のものに用い、直接定格電圧を加える。
YーΔ始動法
11kW程度までで、Y結線で始動し、Δ結線で運転する。
始動補償器法
15kW以上に用いられ、変圧器のタップを切り替え始動する。

巻線形誘導電動機には始動抵抗器法が適用される。

YーΔ始動法(スターデルタ始動法)

スターデルタ始動器により、始動時と運転時の結線を切り替える。デルタ結線で始動した場合、始動電流は定格電流の数倍に達する。

Y結線により、各相の始動電圧はΔ結線の1/√3に、線電流とトルクは1/3に減少する。

三相誘導電動機の入力と出力の関係

負荷が接続されている回転子は二次側にあたり、固定子である一次側は、電圧と周波数が一定で安定している。

二次側は、負荷の大きさによって回転子の回転数が変動するので、電圧と周波数は滑りsに比例して変動し、電流も変動することになる。

一次側と二次側にある関係

誘導機の固定子に周波数f1の電圧が加わっていて、回転子が停止している時の一次側,二次側の1相あたりの誘導起電力をE,E1とする。

回転子が滑りsで回転している時の二次誘導起電力E2と周波数f2は、
二次誘導起電力E2[V]=sE1
二次周波数f2[Hz]=sf1

二次周波数は滑り周波数とも呼ばれる。

停止中の二次側リアクタンスをx1[Ω]とすると、滑りsで回転中した場合の二次側リアクタンスx2は、
x2[Ω]=sx1